転職面接に関するマナーと注意点
転職の面接となるとやはり緊張しますよね。また一発勝負なので、「失敗できない」という思いも強いはず。企業によっても面接のやり方は様々なのですが、基本的なマナーと注意点をご説明します。
面接時間帯の設定
面接時間帯の設定で気になるのは、
- 夜は何時まで受け付けてくれるのか?
- 朝は何時から受け付けてくれるのか?
- 平日で調整できない場合に、休日でも受け付けてくれるのか?
- 遠方に住んでいて(地方や海外など)簡単に面接地に行けない場合どうするのか?
などがあると思います。倒的に多く、日中や平日に予定がつきづらいことは面接担当者も理解しています。
面接の時間が早朝や深夜になったり、休日になると企業側に負担をかけてしまい、心象が悪くなるのではないかという不安を持つ方もいますが、それ自体にマイナスイメージはありません。採用担当者が深夜や休日でも良いと言ってくれる場合は、できるだけ近い日程でお願いすることをお勧めします。
4のケースについて、遠方の場合、複数回の面接のたびに時間と高い交通費を使って企業に出向くのはかなりの負担になると思います。その場合もそのことを事前に採用担当に伝えておくことをお勧めします。
実際にSkypのテレビ電話機能を使用した面接はよく行われています。
転職エージェントや人材紹介会社を利用する場合は、これらの調整を全て代行してくれます。その場合も、気を使ったり遠慮することなく自分の希望を伝えて問題ありません。
面接当日の服装
服装については、業界やその企業の文化によって様々です。私の認識では、最近はラフな格好での面接を推奨している企業が多くなったと思います。特にネット系や若いベンチャー企業などは私服での面接を歓迎している企業もあります。
とはいえ、万が一のことを考えて、一次面接はスーツで受けることをお勧めします。スーツがない場合はせめてジャケットを着ていけば服装で悪い印象を与えることはないと思います。
一次面接の際に、面接官の服装をチェックして、相手がスーツでないのであれば二次面接以降は、私服で問題ないと思います。ただ、半ズボンやタンクトップなどあまりに砕けすぎた服装は控えるべきです。
転職面接で聞かれるポイントと回答例
面接では何を聞かれ、それに対してどんな回答をするのかがとても重要になります。そこで、面接で聞かれる可能性が高い質問と、それに対する回答の方法についてご説明してきます。
転職(退職)理由
退職理由を聞く場合、面接官が見ているポイントは大きく2つです。
- 転職者が今の会社では満足できない本当の理由
- その理由が、”前進するため”なのか”回避するため”なのか?
まず、1.についてですが、最もやってはいけないことは”嘘をつく”ことだと思います。本音を隠して転職理由を語っても、面接官にはほとんどバレていると思った方がいいです。「本当の転職理由」まではわからなかったとしても、それが本音なのか建前なのかぐらいは見抜かれると思った方がいいです。
そして本音ではないと思った場合には、「きっと面接では言えない退職理由があるのだろう」というレッテルを貼られる可能性が高くなります。これはハッキリ言ってマイナスの印象を与えます。
腹を割って話ができない、もしくは腹を割れないような理由を抱えた相手と、これから一緒に仕事ができるか聞かれれば、普通だれしもが”NO”なのではないでしょうか。
2.については、「前進」とは簡単に言ってしまえばポジティブな目的です。例えば今の会社では実現できないことが、転職先の会社であれば実現できる可能性が高くなり、自分・会社・社会の3者にとってwinである場合などです。
逆に、「回避」とは今の会社に不満があり、その不満から逃げることが目的になっている場合です。時には自分の身の安全(もしくは家族の生活)のためにそうするしかない場合もあると思います。
しかし、重要なのは”回避だけ”を退職理由とするのではなく、”前進”の部分もきちんと伝えることです。実際に面接をしていると回避だけを理由としてあげる人が少なくないのです。その場合、面接している側からすると「転職できれば、別にウチの会社じゃなくてもいいのかな」という印象を持ってしまいます。
志望動機
志望動機は、採用担当者が転職者を評価する上で、非常に重要なポイントになります。一般的にはその会社の風土や市場における強みを魅力に感じて…というセリフが多く、実際に面接をしていてもほとんどが似たり寄ったりの志望動機となります。
面接をする立場の意見としては、”その会社でどうなりたいのか?その会社で何がしたいのか?”を具体的に伝えることをお勧めします。この違いがわかるでしょうか?
前者は、その会社に”居る”ことが目的に聞こえます。しかし、後者はその会社で”どんなアクションをするのか”がセットになっているのです。採用担当からすれば、会社にどんな貢献をしてくれるのか?を見極めようとしているので、ただ「居たいです」と言われても困ります。
「私はこんなことを実現するために御社に入社したいのです」と言われれば、「それをしてくれたらウチも嬉しいな」というマッチングが成立します。
実際の面接では、会社の魅力を伝えただけでも「その中であなたは何がしたいんですか?」と質問をされるはずなので最終的には何をしたいのかを伝えることにはなるのですが、聞かれるまでもなく”何がしたいのか”を自分から伝えることで面接官の印象には強く残ると思います。
強み(長所)・弱み(短所)
面接で強みや弱みについて聞くと、これまでの成果や今ある知識などを”強み”としてプレゼンする転職者をよく見かけますが、これはあまりお勧めしません。その理由は、成果は過去のことなので今現在の強みではありません。また知識は確かに強みとなる場合もあるのですが、今現在限定の場合が多く、時間の経過とともに古い情報となり、強みではなくなることが多いのです。
面接で採用担当者が知りたい強み・弱みは、その人のパーソナリティに関する部分です。要は性格や人間性など、時間がたっても失うことがなく、その人の行動や思考の根本となる部分でどんな個性を備えているのかという部分です。
さらに一歩踏み込んで説明すると、性格や人間性といったパーソナリティ(その人らしさ)は、それ自体に良い・悪いということはありません。
面接で見ているのは、自分自信を客観的に理解できているかということ。そしてその特徴をどのように生かして強みといしているのか、またその特徴からくる弱みにどう対処しているのかといったセルフコントロール力を見ています。
キャリアプラン
キャリアプランについて質問された場合は、その会社でどんなキャリアを積み上げたいかを答えるのですが、これは会社内にどんなキャリアステップが用意されているかによっても回答が異なる部分だと思うので、臆すことなく「どんなキャリアコースがあるのですか?」と質問をしても良いと思います。
例として代表的なパターンを紹介します。
- スペシャリスト:特定の専門分野に特化して能力を伸ばす。マネジメントはあまりしない
- ゼネラリスト:幅広い知識や能力を持ち、組織のマネジメントを主な仕事とする
大まかな方向性として上記の2つがありますが、これに加えて「いつまでに」と「レベル感」のイメージを持っておく事をおすすめします。例えばスペシャリストであれば「3年以内に専門メディアに寄稿できるレベルを目指す」とか、ゼネラリストであれば、「1年後には管理職として部下を持ち、若手の早期育成で成果を出す」などの具体的なイメージを語れると伝わりやすいと思います。
また、現在はプロジェクトマネージメントという少し特殊なポジションを活用するケースもあります。プロジェクト単位(期間限定)で目的に向けてスペシャリスト達をディレクションし、”育成”という観点ではなく、すでに一定のスキルを持っているスペシャリストの能力を最大限発揮できるように調整役に徹するポジションです。
年代ごとの面接対策
面接担当者は多くの場合、企業ごとに面接のガイドブック的なものがあり、それに沿って面接をすすめていくのですが、転職者の年代によって見極める観点に多少の変化があります。まだこれから磨く余地のある20代と、即戦力としてスグに活躍してほしい30代や40代では、面接の内容も異なるのです。
では年代毎にどんな違いがあるのか、またその対策をご紹介します。
20代の面接対策
面接官の立場からすると、20代というのはまだまだ若く伸びしろがある人材なので、「今何ができるのか?」よりは「今後にどんな可能性があるのか?」という点に重きを置いて見極めることが多くなります。
面接では「どんな人なのか?」を見極めることになるのですが、20代の場合は「どんな人≒どんなことをしたい人」として見極める事になるのですが、「あなたは入社後にどんな事をしたいですか?」という質問に対してありがちな回答と、それに対して面接官が内心どんな事を思っているのかをいくつかご紹介します。
転職者のありがちな回答 | 面接官が思う事 | 望ましい回答(どんな事をしたいか) |
社会に貢献したいです! | だからどう貢献したいのかを聞いてるんだよ! | 今後少子化が進む中で、高齢者や専業主婦がもっと社会で活躍できる環境を作りたいです |
もっと成長したいです! | あなたにとっての成長は何? | 視野を国内だけでなく、グローバル視点でのマーケティングスキルを身につけたいです |
自分の実力を試したい! | 試してどうするの? | 成果主義の環境できちんと成果を出すことで、より早く自分のキャリアを上げていきたいと思っている |
20代の若い人材は、明確な目的(目標)を持っているか否かでその後の成長スピードが大きく異なります。また、目的(目標)は持てと言って持てるものではなく、他人が「こらが正しい目標だよ」と教えてあげられるものでもないので、本人が自力で見つけ出すしかないのです。
企業はその事を十分に理解しているため、
- 「どうなりたいのか」をきちんと持っているか
- 目的は自社で実現できるのか
- その目的は自社の目指す方向性と一致しているのか
を見極めて採用をしているのです。
30代の面接対策
20代と異なり、30代では「何ができるのか?」を重点的に確認することが多くなります。「どんなことがしたいのか?」も重要ですし、またこれから成長する可能性はありますが、やはり即戦力であることを期待します。
能力を測る上では成果だけでなく、そのプロセスや手法などを深堀するのですが、その際に良く用いるのが以下の項目です。
- 目標達成のために、どんなKPIを設定していたのか
- どんなマネジメントをしてきたのか
- 業界や競合をどう分析してきたのか
- 業務を行う上でどんな戦略を考え、なぜその戦略にしたのか
※上記は基本的に事業部門で業務を行っていた方を対象にしているため、人事や経理などの関節部門の方の場合は質問の内容は異なります。また2.については、部下を持っていない場合は対象外となります。
これらは、その内容が正しいか否かというよりは、きちんと具体的な内容を回答できるか否かが重要になってきます。きちんと仕事をしていた人であれば、状況や環境が異なったとしてもこれらのことは常に、または定期的に考える内容だからです。
逆に答えが曖昧だったり、具体性が無く見聞きした一般論で回答している場合などは、その部分に関することはあまり実践していない(=そのスキルは低い)と判断することになります。
企業規模ごとの面接対策
中小ベンチャー企業の面接
社員数が100名前後の中小規模や、立ち上げたばかりの数十人規模の会社の場合、人事として採用を専門的に担当している人ではなく、高い確率で現場の管理職の方が一時面接官として登場してきます。
また、多くの場合社長自らが面接をする場合が多く、最終面接はかなり高い確率で社長面接になり、場合によっては一次面接から社長が登場して、即決で合否を判断する場合もあります。
これらの会社では、スキルも当然ですが、転職者の人間性や、「会社の理念やビジョンに対して共感しているか」などをかなり重視して判断します。ネットなどでその企業のホームページを見たときに、”理念、ビジョン、文化”などを社長が熱く語るページがある場合は、さらにその可能性は高いと思われます。
その場合は、きちんとその会社や社長の考え方を理解し、また何にどう共感したのか、自分のこれまでの人生経験を踏まえて、その理由をきちんと語れるようにすることが重要です。
大手企業の面接
大手企業の場合は基本的に組織化された人事によって面接が行われることが多くなります。その際には、面接官個人に委ねられている部分もありますが、”必須の確認事項”というものも存在しますので、いくつかの項目をご紹介します。
コミニュケーション | 面接官の質問を理解し、論理立ててきちんと回答を説明できているか。 |
ストレス耐性 | 組織で働く上で、人間関係の摩擦や、目標達成のストレスに耐えられるか |
スタンス | 自己中に自分の要求だけを主張せず、会社の方針に従い会社の利益のために動けるか |
論理的思考 | 物事に対して感覚的に取り組むのではなく、合理性を元に物事を判断し、論理的に手順を立て仕事を進めることができるか |
個別のスキル以外にも、上記のような項目を面接を通して評価します。中小企業の場合は、これらの評価があまり高くなくても、社長の直感などで採用が決まる場合がありますが、大手になると最終段階でも社長が面接に登場することはほぼありません。
面接のテクニック
想定外の質問をされて、答えられない場合には焦りますよね?でも、これは面接官がわざと答えられなそうな質問をしている場合が多いのです。なぜそんなことをするのかというと、”人間は追い詰められたときにに素顔が見れる”からです。
例えば、面接も終盤、ここまではいい感じで面接が進んできて、良い手応えを感じているときに突然「EUからイギリスが離脱したことで、世界の経済にどんな影響があると思いますか?」と聞かれたらかなり焦るとおもいます。
このときに、御茶を濁したり、知ったかぶりをするケースがよくあるのですが、「すいません。経済に全く興味がないわけではないのですが、その事についてはあまり理解しておらず、自分の意見を持ち合わせていません。」ときっぱり言い切ってしまった方が個人的には好感が持てます。
逆質問で切り抜ける
逆質問とは、質問に対して質問で返すという方法です。例えば、「あなたの5年後のビジョンを聞かせてください」と質問されたときに「なぜ5年後なんですか?」もしくは、「なぜ私んビジョンに興味を持って頂けたのですか?」と質問し返すことを言います。
これは、使い方を間違うとただの”理屈ぽいヤツ”と捉えられかねないので、あまり使用はおすすめしません。ましてや、質問されて回答に困った時に一時逃れでこれを使う場合には、高い確率で相手にそれが伝わり、ただの言い逃れとしてマイナス評価を与えることになります。
ただ、目的によっては効果的な場合もあります。例えば、相手の質問の意図をきちんと汲み取ろうという姿勢が見える場合です。「あなたの5年後のビジョンを聞かせてください」という質問に対して、「それは仕事においてですか?それともプライベートにおいてですか?」という質問をする場合、より相手に的確な回答を伝えたいという背景があるのが分かるとおもいます。
また、「あなたが人材の育成において重要だと思うことを教えてください」という質問をされた場合に、「それはどの程度の期間を想定されますか?(短期間での視点か、長期での視点か)あとは対象となる人材はどの程度のレベルの方を想定していますか?」という質問をしたとします。
もし、私が面接をしていて、この逆質問をされた場合は、「あ、この人かなりマネジメントの経験を積んでいるな」という期待を抱くとおもいます。
その理由は、人材の育成は、短期と長期ではその方法や正解がことなりますし、人材のレベルも、新卒と10年目のシニアクラスではやり方は全くことなります。まず、その違いを理解しているこが伝わってくるのと、「どのパターンを質問されても答えられますよ」という自信がうかがえるのです。
もし逆質問を活用するのであれば、このように自分が強みとしている部分に関して、相手の質問をより細分化し、「それぞれ回答はことなりますが、どれが知りたいですか?」と逆に聞き返すことで、その専門性の高さや、経験値の豊富さを伝えるのはおすすめです。
「質問はありますか?」と聞かれたら
面接の終盤でほぼ必ずあるのがこの質問です。会社の事や、その後の面接の事などで純粋に聞きたい事があればそれを質問するのもありですし、何も質問しないからといってマイナス評価になることはないと思うのですが、ここでどんな質問をするかによって相手の印象に強く残る場合は確かにあります。
私自身が実際に面接をしていて感じたことなのですが、最後に「質問はありますか?」と確認したところ、「●●さんは何故この会社に入られたのですか?」と私自身についての質問をされたことがあります。
私は実際の志望動機を説明したのですが、立て続けに入社した感想や私が一緒に働きたいと思う人材がどんな人かなど、私個人に対する質問をいくつかされました。
何故この転職者が私の印象に残ったのかというと、私自身に興味を持ってくれた相手に、少なからず好意を抱いたのだと思います。これは面接に限った話ではないのですが、人は自分に興味をもってくれた人や、自分の話をきちんと聞いてくれて人に好感を抱くそうです。
多くの場合、会社のことや事業のこと、労働環境についてのことなどの質問が多いだけに、よりいっそう強く印象に残っています。
まとめ
最後までお読み頂きありがとうございます。今回は面接に関する裏話やテクニックなどをご紹介してきました。面接というと、”面接官が転職者を試す場”という、オーディションのような状況を思い描く人も多いと思います。
もちろん、その側面もあるのですが、私自信が面接をする上では、そのような上から目線ではなく、あくまで”相互理解の場”だと思っています。「あなたのことも知りたいけど、私達のことも知ってほしい」という思いです。なぜなら、当然転職者にもどの会社を選ぶか選択権があるからです。
面接で緊張しまくって、普通の受け答えもできなくなり、不合格になる候補者も多く見ているのですが、きっとその人達に共通しているは、「失敗してはいけない」とか「うまく答えよう」など、実際よりも自分を良く見せようと背伸びをした結果、肩に力が入り、墓穴を掘ってしまうのだと思います。
面接は学校のテストではないので、一夜漬けで結果が変わるものではありませんので「良く見せよう」とすること自体意味がありません。これまで頑張ってきた、在りのまま自分をきちんと理解してもらう場として、リラックスして臨むことがなにより大切だと思います。